もう大学生を最後に机に向かって勉強なんぞしたこともなかった。
もう最後に机に向かってノートに先生が黒板に書いた内容を写すという作業を最後にしたのはもう10年くらい前のことだ。
in図書館。周りの人間はペンを持ちながらノートに何か書いている。
おそらく勉強しているのだ。
しかし俺はノートに書き書きする、そんな勉強をしたことが殆ど無い。
だから、一体何を書いてるんだろうと思う。
ノートの中身を見せてほしい。
授業中に黒板に書かれた文字を書き写すことにノートを使うが、自宅で勉強するときにどうするのかわからない。
だからとりあえず自分でノートに何か書いてみることにした。
ところで俺は最近、現代ゲーム全史という難解な表現を多様する本を読んだ。
わからない単語がポンポンでてくるので、ノートにメモをした。
とりあえず、意味がわからない単語を羅列して、意味は全部書き出してからそのあとでまとめて調べていくことにした。
わからない単語がありすぎて100コ以上の単語がノートに書き写されたが、調べた意味を書くスペースを開けておくことをしなかったため、ただわからない単語だけが書き写された状態になった。
それでも調べていく。でもノートに意味は書かない。
しかし、これが思わぬ発見をもたらす。
しばらくしてノートを再び見ると、そこには100コ以上の単語が羅列されているのみである。しかし、それらの単語を一個一個見ていくと、意味が想起できるもの、忘れたもの、曖昧なものがあることに気づく。
つまり、ノートに調べた意味を書き込まないことにより、あとでノートを見返した時に記憶できたか(確実にインプットできたか)がテストできるのだ。
そして、思い出せない単語と、曖昧な単語は再び調べて意味を確認していく。そうこうしているうちに段々と想起できるものが増えていった。そして、自分の文章に自在に新しく覚えた単語を当て込むことができるようになった。ここまで来てはじめて頭にインプットされたと言えるんじゃないだろうか。
これが正しいインプットの仕方なのだと思った。
何を今更と思うかもしれない。
学生諸君はみなこのようにして英単語なんかを覚えているのだろう。
緑と赤のシートを使って。
しかし、俺はこの作業を学生時代に怠ったがために、落第し、いい大学に行けなかった。
そして、その後全く勉強しないまま10年が過ぎた。
だから、この発見は新鮮だった。逆に言えば新鮮に感じるくらい勉強してこなかった。
勉強しないとクソになることを悟るのであった。