独り身がデートスポットなんぞ間違っても行ってはいけない。
無職童貞ならなおさらだ。
それを俺は都内散歩の旅でいやっちゅーほど思い知った。
デートスポットには、
スタイルがいい女。胸がでかい女。かわいい女。美人の女。また、それらを兼ね備えた女が普通にいる。
江東区の地元のじじばばなどに囲まれている地域に住んでいる身としては、都心に散歩に出かけるようになるまでは全然知らなかったことだ。たまに近所に若いハイソなカップルが通りがかることがあるが、それを見て、ああ、輝いているなぁ。と思っていたが、そういう奴らの巣窟がデートスポットなのだ。
そして、そういう女を連れている男がいる。
特にイケメンなんて、全てを兼ね備えた芸能人みたいな女を連れているやつもいる。
そういうのを見ていると、こいつらは同じ空間にいるものの、別世界で生きているような錯覚に陥ることがある。
こんないい女とどうやって知り合い、どうやって付き合うにいたり、どうやって肉体関係を結んだのか。
そんなことをふと考える。
俺は彼女いない歴童貞のおっさんだ。
だから、カップルを見てもこいつらは肉体関係を交わしたことがあるといってもピンとこない。
しかし、おそらく恋愛、交際を経験した人間だとそれが手に取るようにわかると思う。ヤッてるのは確実と分かる。
穿った見方をすれば、むしろ下手に恋愛経験がある奴らのほうが、いい女を連れた男を見ると、嫉妬に狂うのかもしれない。俺はこんなブタみたいな女しか抱いたことがないのに、こいつめこんなにいい女を毎晩抱いているのか・・・くそぉ死ぬほど恨まやしい。と平静を装った顔の裏では、どす黒い感情がくつくつと煮えたぎっているかも知れない。
今日も築地でものすごいスタイルの女(後ろ姿だけ)を連れた男がいた。
俺はその後姿を一瞬確認して、ドキッと心臓が脈打ったが、絶対見ない、絶対見ないと心を閉ざし、やり過ごした。
見ても、心に毒だと言い聞かせて。
そして、崩れたおっさんやおばさんのファミリーなどを見て猛りを沈める。するとまた別の目に毒な奴らが視界に入る。またドキッとする。やりすごし、またくたびれた夫婦を見てホッとする。この繰り返しで俺の日曜日の散歩は構成されている。
しかし、いい女とどこで知り合うのか。謎すぎる。
ナンパなのか。バイト先で口説いたのか。俺にはさっぱりわからない。