金子哲雄を覚えているだろうか?
2012年に亡くなられた流通ジャーナリスト。
テレビにもよく出ていたから顔を見れば覚えている人が多いかもしれない。
彼の家系は短命だったそうだ。
だから金子さん自身もその運命を受け入れて、行き急ぐように人生を走っていた。
ウォーキングじゃなくて、ジョギング、時にはランニングですらあったかもしれない。
人生を倍速で生き、限られた運命の中で一生懸命に生きた。
密度の濃い人生だっただろう。
残念ながら運命の通り彼も病魔に襲われ、若くして帰らぬ人となってしまった。
葬式などにかかる段取りを生前のうちに済ませて逝ったことは有名だろう。
人生を倍速で生きる。
俺に足りないのはこれかもしれない。
俺は今まで止まっていた。歩いてすらいなかった。
引きこもって転売してお金を稼いではいたものの、それをやめた途端に自分には何もないことに気づいた。
そして、お金と十代のころから成長していない自分がそこにはいた。
社会経験もない、資格はおろか、車の免許すら持っていない。
のんびりしすぎたのかもしれない。
生き急いでどうするの?とか思っていたが、生き急がないとあっと言う間に時間は過ぎおじさんになってしまう。
ずっと引きこもっていると毎日同じ繰り返しで、時間の感覚がなくなってくる。平日と休日の境目すらわからなくなっていく。
金子氏の人生はそれとは真逆。
おそらく一日一日を大切に、一生懸命生きていたのだろう。
俺がもし金子氏と同じ寿命だとしたら、彼と同じ宿命を背負っていたとしたら、俺は彼のように生きられるだろうか。
おそらく、自分の性格からして自暴自棄になって、やけ酒を食らったりして、絶望の中死んでいくと思う。
彼は立つ鳥跡を濁さずの諺通り、死に際の後始末まで整えた上で人生の幕をおろした。
簡単できることではない!
俺だったら死の恐怖で発狂して跡を濁しまくりに違いない。
彼の生き様はなくなってもう5年になるけど、俺の脳裏に深く刻まれている。