なぜ俺はどうしてかくも効いちゃいやすいんだろうか?
それはおそらく馬鹿に見える連中をバカだと思って心底見下しているからだろう。
だからバカにバカにされると腹が立つ。
それが起きたのが昨日。
大人の対応ができるなら、生意気な子供の駄々に過ぎないと矛を収めることも可能なのだが、あいにくそんな人徳も経験も持ち合わせてはいない。
実はこういう街で偶然遭遇した見ず知らずの他人に攻撃されたことは今回が初めてじゃない。
18歳くらいの時に模擬試験だか本番だかを受け終わって駅のホームに居る時に、チェケラッチョとか言いそうなラッパーとかDJとかが好んでする服装をしたジブラもどきの糞ガキに出くわしたことがある。そこで、一言殴りたくなるような舐め腐った顔で一言「ダッサ」って言われことがある。
その時の俺の格好は赤橙色のジャンパーとジーパンだった。ブランドものではない。無印良品やユニクロのような無難を突き詰めたデザイン。こんな格好をしているやつなんて他にいくらでもいるのに、なぜ俺に食って掛かってきたのか今でも不明だ。
その時も自分を押し殺した。昨日以上に腹わたは煮えくり返った。なぜ面識もない人間に対してそのような暴言を吐けるのか。全く理解できなかったからだ。今では理解できる。そいつがバカだからだ。それ以外の何者でもない。
あと、中学か高校の時に電車でドアに背中をもたれている時に、同世代の制服着た他校のキチガイ野郎にガンをつけられたこともある。眼中になく見ているつもりは一切なかったが、そいつが降りるまでにあからさまに睨みつけてきて、挙句の果てに出際に顔をしゃくりあげて挑発してきた。俺はこの頃からオフ(小日向文世を演じていない通学時間)のときは無表情だった。すっとぼけた俺の面がそいつの勘に触ったのかもしれない。本当にどうしたら見ず知らずの人間にそこまで憤慨できるの?って不思議だった。
こういう意味不明野郎というのはこんだけ人が溢れていれば必ず一度や二度は遭遇するもんだということが昨日のバカが思い出させてくれた。
俺には人を遠ざけたり、人から嫌われる天賦の才能があるのかもしれない。
だからまともヤツは誰も寄り付かないし、寄ってくるのは頭のおかしい連中だけだ。
俺は社会の爪弾き者だし落伍者だが、赤の他人に口撃はしない無関心系だ。
同類にカウントされるのは心外だ。
そして俺はそういう頭のおかしいバカを心から軽蔑し、死ねば世の中のためになると思っている。よほどのバカは勝手に自滅していくが、小悪党は生き残りのうのうと幸せな人生を送る。過去の精算を済まさずに。許せない!という強い憤りは感じないが、天罰の存在とか因果応報を信じたくなってくる。
こういう連中から攻撃されると仕返ししたくなるのが人情。
だが、それを実際に行動に起こすとその連中と同じレベルにまで堕ちてしまう。
そして、今まで必死に耐え忍んできたのは一体何だったのかと、埋没費用問題が頭をもたげる。そんなんなら最初から傍若無人な生き方をしてればよかったと。
だから今回効いちゃったけど、仕返しをしなかったのは結果的に正解なんだが、やられ損感は否めない。
ただ、そのDQNを小馬鹿にしたような薄ら笑みで「効いちゃいました顔」しないよう防御したのが不幸中の幸いだった。