あなたは自転車で道を走っていました。
死角から、猛スピードで別の自転車が横から突っ込んできて、貴方の体は浮き上がり、ケガをしました。
犯人は逃げて、あなたは追いかけて捕まえました。
さて貴方はどうすべきでしょうか。
正解は、直ちに警官に引き渡すことです。
(刑事訴訟法214条)
検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
(司法警察職員というのはお巡りさん。)
これは、私人による現行犯逮捕というものらしい。
(刑事訴訟法213条)
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
病院にドキュンが急患で運ばれてきた。
治療を終えると、俺と同室に。
上記のような事情があって、入院したらしいが、彼の場合は、捕まえるところまでは行ったものの、そこから警官に引き渡すことなく、家に帰ったらしい。
一応相手の連絡先を控えて、警察に連絡はしたものの、その日は家に帰ったとかそんな話が聞こえてきた。
しかし、彼はそのことで厄介なことになっていた。
逆に言えば、私人による現行犯逮捕の手続きを経ていれば、入院費を含む賠償関係の諸問題について円滑に手続きを進めることができたようだ。
彼の母親が来て、病院と入院費について揉めに揉めていた。
病院側からしてみれば、トリッパグレを防ぐために預り金を申し受けたい。
しかし、母親は犯人に支払わせたい。なんで被害者側が払わにゃならんのだと譲らない。
さらに、すでに警察が介入している。
しかし、所定の現行犯逮捕の手続きを踏んでいないために、処理が煩雑になり、ただでさえ厄介な事情は更に複雑になっていった。(らしい)
なんかグチグチとした母親のヒステリックな声と病院の事務のトップとのやり取りを聞いていると猛烈に疲れてきたため、耳にイヤホンを突っ込む。
平気で2,3時間喋っている。しかもつっかえもせずにピーピー文句を言っている母親によくもまぁそんなに口から流暢にペラペラと言葉が早口で出てくるものだなぁとコミュ障の俺は感心さえするのであった。
後に、彼は仕事の帰りでの事故だったため、労災が使えるんじゃないかということになって、そっちの方面で解決を図っていくことになったらしい。
そして、預かり金は一時的に払ったようだ。
ドキュン息子は未成年の時に急性アルコール中毒で搬送歴があるタバカスのため、母親も相当手を焼いたのだろうか、「もう未成年じゃないから」という理由で終始息子を突っぱねている印象を受けたが、息子のピンチに仕事に穴をあけて駆けつけたり、私用の充電器貸してあげたり、病院食じゃ足りないからと、近くのコンビニで弁当やらお菓子(いいのか?)を買ってきて上げたりしている様子を見ていると、過去にどんなドラ行為が行われたことかは知らないけど、親としての責任というのがまずあるのかもしれないけど、やっぱり息子がかわいいのかなと思った。
あなたがもしもこういう目に遭ったならば、捕まえた後はおまわりさんに【直ちに】に引き渡そう。
家に帰ってワンクッション置いちゃだめみたいだ。