昨日アキバのBuyMoreに寄ったらおじさん店員がいきなり客と喋っている光景が目に入ってきた。
「パソコンを組んで差し上げるのは可能ですが、リナックスを入れてお渡しできません。OSなしのご案内は検討させていただきます」
などということを客に話していた。
M.2とSATAがどーのこーのとか専門的な知識はわかりそうでわからない。
よく勘違いされている方がいるのですが~とか平気で言いそうなのに、たとえ言っても話している客は不快な顔はしないだろうという感じがなぜかする。
その客は姉の旦那のアメリカ人の使いっ走りで来たようで、おじさん店員は「アメリカ人はあとからいちゃもんつけている人が多いですからねぇ~」とこれまた”はっきり”ものを言っていた。
改めて彼のトークを聞いているとエッジが聞いているなぁと思う。
客にとって普通の店員は言わないような辛辣なコメントをすることも少なくなさそうだ。客が抱いている幻想や甘い考えに対して現実を振りかざし、説法を説くように戒める。
以前若者が「はっきり言ってくれた方がいい」みたいなことを言っていたが、このスパイスの効いたトークがしびれるのかもしれない。本場の麻婆豆腐のように。
あと返答が基本断言。あいまいにお茶を濁すということはなく、はっきり言う。
確定しておらず自分の予想を話すときも、ちゃんと前置きしてから自分の予想を話す。
「できることはできる、できないことはできない」ときっぱり言うし、お客さんがあやふやな知識を披露した際も間違った箇所をズバッと指摘する。
アフターフォローの代わりに豊富な知識で畳み掛けてくる。
熱量がすごいためマウントをとられているような感じがしない。マウントをとるとかとられるとかどうでもよく彼は自分の頭の中の物を必死に相手が理解しやすいように変換して分け与えようとする処理で精一杯という感じ。一生懸命なおじさん。
そのため彼の話を理解するために頭を働かせる必要があり、自分の慢心や恥に対するちょっとしたショックを引きずっている暇はない。
聞きように寄っちゃオタクっぽい喋り方に聞こえるかもしれないが、声量が店内に響き渡るほどでかく、明瞭で滑舌の良い喋り方のため聞き取りやすい。
もちろんわきまるところはわきまえているため、お客に割とキツめな言い方をしても客に大恥をかかすという本末転倒なことはしなさそうだ。
多分、お客のタイプに合わせて最適な話法にスイッチするということをしてそう。
きっと昨日も指名されたんじゃないかと。
いや、他の店員の知識がおぼつかないため駆り出されているのかもしれない。
彼のすごいところは、知識を言葉に変換してわかりやすく、ユーモアを交えつつ、喋り相手の感情を刺激して話してて楽しいと思わせることかもしれない。(実際に彼と面と向かって会話したことないけど)
現に、おじさん店員と話しているお客は感嘆の表情を浮かべている。自作の知識があればあるほど彼と話していて楽しいのかもしれない。
彼が他店に移籍してしまったらつまらない店になりそうな気配すらする。
コミュ力の高い人って魅力的だなとも思った。
彼は多分だが有名人らしくお客の中に普通に知り合いがいっぱいいそうだ。
しゃべれるオタクが店員やったらその店は繁盛するかもしれない。