俺は典型的なダメ人間でそれは高校生のときのエピソードからもわかる。
典型的なダメ人間の特徴の一つは「優先順位通りにことを進めることができない」だ。
時は高2の5月。中間テストを1週間前に控えたシーズンだった。
俺はふと思いつきから、内容がラベルに記されていないVHSテープ(3倍録画)を整理し始めた。
すると、撮りためた映像が懐かしく、延々と見始める。
さらに、雑多に録画されたジャンルもへったくれもないビデオ録画の番組内容を、時系列に従ってラベルに書いていくという作業をし始めた。
そして、それは1本、2本と増えていき、その作業に没頭。結局何も勉強せずに中間テストの日を迎えてしまった。
テストの点は燦々たるもので、数学Bに至っては0点だった。
普段俺のテストの成績に鈍感な親も流石にキレた。なぜ親が知ったかというと担任に呼び出しを食らったからだ。そこまで全体的にひどい点数だった。
そして、父親にはプレステをカベにぶん投げられ、深い傷がついてしまった。(幸い壊れてはいなかった。むしろ壊れたほうがよかったかもな)
完全に破壊しないのが親の爪の甘さだな。もしかしたら息子に嫌われたくなかったもかもしれない。そう思うと会話がない親子だったとは言え、少し切なくなる。孤独な今だから思えることだが。
普通の人なら、ヤバイと思うはず。ビデオなんて見てる場合じゃない。こんなことやってる場合じゃない、とそうそうに切り上げて勉強机に向かうだろう。
しかし、俺は一旦没頭してしまうと飽きるまでエクストリームになってしまうのは昔からで、中学受験目前という時期にドラクエの新作が発売されてしまったという不運。
今思うと不運なことだが、両親が中学受験を適当に考えていて受験期なのにゲームをやめさせなかった。受験本番2月にも俺は友達の家でゲームをやっていた。
自分の好きなことを優先的に考え、嫌なことは放り出す。今まで紛いなりにも塾に3年間通った積み重ねがあるにも関わらず、ゲームの誘惑に負け、直前期の追い込みを怠る。糞ガキだ。
俺は放任主義の家庭で育てられた。いままで自分がどう育てられたとか考えたこともなかったが、きっとそうなんだろう。もしもガキの頃、ゲームじゃない別のことにはまれていたとしたら、両親が放任主義じゃなくちゃんと子供にわかりやすいように道を導いてくれていたとしたら・・・俺はこんな失敗作にならずに済んだかもしれない。