感情がなくなってきた。
あるのは喫煙者への怒りと慢性的な不安感と寂しさくらい。
まず喜びはなくなった。
今日、入院用の肌着を買いに行った。
ダイソーの店員に聞いて散々待たされた揚句なかった時も、無感情だった。
それから、ホームセンターの店員に聞いて、隣の店の衣料品売り場にあると言われて、実際にそこに探してた物があって、またホームセンターに戻ってお礼を言いに言った時も、表面上では笑っていたけれど、心の中は無感情だった。
「ありがとうございます。お陰で助かりました。急いでいたもので」
そう言ったのだけど、それを言った俺は完全に演じていた。
いかにも、探していたものが見つかって、安堵と歓喜が入り交じる俺を演じながらも、心の中はとくに喜びもなく沈んでいる。そんな感覚。
最近、似たような事があった。
病院の初診の時に妙に饒舌だった。
まぁ、ひとりで全てやらなきゃいかないから、漏らさず些細な事も聞くというのは不思議じゃないけど、ひとりでにボケ(天然)を言っていたりした。
しかし、一方でその時俺は不思議な感覚に襲われていた。
それは、別の俺にしゃべらせているという感覚。
そして、本体の俺はそれを俯瞰でみている。
ところで今日も土曜日の周りの幸せに晒されてきた。
美人も結構いた。それを連れている男も。
美味しそうな体つきの派手な女と赤ん坊を抱えるハゲの夫。
アンバランスな家族もいた。
錦糸町で酔っ払った上司をヨイショする部下。
女の娘がどーのこーの。
絵に描いたようなフィクションの世界をリアルでみた。
そして、日本ってクソだなって思った。
その女の娘とやらも街にチラホラいたが、売女としか思えなかった。
「世の中腐ってる」
「世の中死んだほうがいいやつばかりに思えてくる」
そう心のなかでつぶやく夜神月のような表情で街を歩いていた。
周りの幸せそうな顔とのギャップで異常者に思われていたかもしれない。
まぁいいや、どうでも。
どうでもいい。
次は心療内科か精神科に行くハメになるかもな。