2週間悪魔に取り憑かれて家から出られなくなった。
しかしその悪魔は今は嘘のように消え去った。
一体何だったんだろうか。
悪魔に取り憑かれている最中は、普通に街を散歩していた事実が信じられなかった。
しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、今は家から出られなかったという事実が信じられないくらいにまで回復。
コンプレックスの根本は治せない。
自分の理想の姿と現実の自分の姿のギャップに苦しんだ。
認めなくなかった。
街を歩けば俺より優れた容姿の奴が男女関係なく仰山いる。
特に優れた容姿、特に着飾った化粧ブースト全開の美しくスタイルが良い女を見ると最大級にゲンナリした。
なぜ女の最上級クラスを見ると最大級にゲンナリするのか。
前に答えを出した様な気がしたけれど忘れた。
絵に描いたような王子様系イケメンや筋骨隆々な長身のさわやかスポーツメンには不思議と嫉妬や憧れの感情はなかった。
ただフツメン以上で俺のコンプレックスのパーツが平均よりも優秀な男には嫉妬や羨望はあった。
そいつらにあこがれていたのかも知れない。
しかし、いくら願ったところで現実の自分の姿は変えられない。
それをようやく認めた。
平均より優秀な奴を見て平均より著しく劣っている自分の気分は塞がれていく。
だから以前以上に周りは見ないようにしよう。
他人に焦点をあわせないようにしよう。
そうすれば歩ける。
赤の他人に悪口言うバカはあぼーん(2chのレスが見えなくなるやつ)すればいい。
堂々と歩けばいい。
卑屈になる必要などない。
ダサい服でもセットしてないボッサボサの髪で歩いてもいい。
恥も外聞もどうでもいい。
なんと思われてもいい。
○○と思われているんじゃないかと疑心暗鬼になってコンプレックスの悪魔に絡め取られて自殺してしまうよりマシ。いつでも死ねる。どん詰まりで死ぬしかなくなった時に死ねばいい。今はそのどん詰まりではない。だから死ぬ必要はない。
そんなに周りに配慮しなくていい。
周りからどう思われているかそんなもんはしらね。
街ですれ違う人間なんか俺に影響を与えない。
自分の好きな格好をすればいい。
変なやつでもいい。
俺は変なやつだし。
マスク被って歩き回ってるやつもいるんだから。
コンプレックスの悪魔が忍び寄ってきたとき、
自分が化物に見えてきた。
自分を化物や怪物に見えてしまう術を使う悪魔。
コンプレックスの悪魔の得意技。
俺は暗黒放送のミドリアンの言葉を聞いてその悪魔は消え去った。
全く家から出られなくなり、
夜に少し出られるようになり、
夜に錦糸町に買い物に行けるようになり、
今現在は普通に昼間も街を歩いている。