↑の続き
各停が駅のホームにやってきた。
俺はまたジェスチャーでバスガイドのように
「あなたが乗りますのはあちらの電車になります~」
みたいに右手を電車のほうに差し出す。
短い車両編成らしく最後尾の位置が俺たちの位置よりも先に止まってしまった。
(かっこわる・・・)
幸いダッシュしないと駄目な距離じゃなかったため体裁は保てたが、思わず苦笑いした。
彼女たちのほうは見れなかった。
車掌が俺たちをあざ笑うかのように(いや、悪意はない、むしろ親しみをこめた感じで)「停車位置にご注意ください~」みたいなアナウンス。
俺が先だって電車に乗り込む。
7人がけが端っこの席を含め半分以上空いていた。
俺は、後ろから乗り込んできた彼女たちを執事のようなジェスチャーで席に誘導。
彼女たちは端っこには座らず、端っこは空けてアリガト言いながら2人並んで座った。
(あれ、ここは俺のためのスペースなのかな)
そんなことを思った。
が、ドア横で突っ立っていることに決めた。
話すこともないし、そもそも話せないし、体臭ももしかしたらで気になる。
コミュ障じゃなかったら・・・
英語が喋れたなら・・・
と思ったけど、
韓国語が喋れたら・・・
とは不思議と思わなかった。
乗り込んだ駅から二駅目が彼女たちの目的とする駅。
その駅が近づくと、彼女たちの方を見て(というか俺に近いほうの娘)バスガイドジェスチャーで「あなたたちの降りる駅です」とやる。
次は○○~○○~とアナウンスが車内にこだましていたが、一応。
彼女たちはアリガト・・・と言いながら降りていった。
そして、ドアは閉まった。
俺は、彼女たちの方を振り向くことはなかった。
(次に続く)