・散歩
渋谷まで。
雨の歩道橋。
降りるときに自分の保育園くらいの子供のペースに合わせてゆっくり下ってる女がいた。
対向からくる人にも気にかける様子はない。
後ろから来る俺にももちろん。
こういう光景なら別に配慮しなくても許されると思ってるのかなんなのか自分たち二人の世界がそこに広がっていた。
俺は右から抜けようとした。
そこに対向から女が隠れて見えなかった横からぬっとやってきた。
俺はもうその自己中親子の横にいた。
これ以上通れるスペースはない。
俺にとっての普通だとこういうケースの場合今まさに歩道橋を上ろうとしているその女は俺に道を譲るべきだと思う。
なのにその女は仁王立ちでその場でとどまる。
どきゃいいのになぜか邪魔にそこに突っ立っている。
この女もまたレディーファーストが当たり前だと思ってる自分優先タイプなんだろう。
俺は横にいるクソ邪魔な親子のまた後ろにいって今上ろうとしているその女に譲る精神的余裕はなかったのでそのまま邪魔だなぁと思いつつ避けて降りた。
自分優先の母親
自分優先の子供(幼児なのでしょーがないが)
自分優先の俺
自分優先の今まさに上ろうとしている女
自分優先のやつが狭いスペースに一同に介す状況。
もはや不快でしかなかった。
この内の誰か一人が譲り合いの精神を見せたらこんなろくな気持ちにはならなかっただろう。
しかし俺がその譲り合い精神の犠牲者になったとしたら一人だけ損した気分になっただろう。ババを引いたときみたいに。
そんなバカを見たくないので俺は譲るということができなかった。
電車も店の出入り口も降りる人優先。
だから歩道橋もきっと降りる俺優先。
という論理。
しかし歩道橋には降りる人が左、上る人が右みたいな暗黙のルールみたいなものも多分ある。
俺はその暗黙のルールにそのクソ親子を回避するために一時的に破った。
しかししょうがないじゃないか、クソ親は超マイペースでめちゃくちゃ遅く階段を降りてて邪魔なんだから。
そのクソ親も一時的にドラクエみたいに縦隊になるなり、焦るフリなり配慮してますよアピールなりすればまた違ったかもしれない。
そのクソ親と来たらまるで自分たち以外はその歩道橋に存在しないかのように迷惑をかけている申し訳無さとか皆無な態度だった。
老人の5分の1みたいなペースでちんたら降りてるのを上のほうから見たときにその親子はかなり下の方にいた。
え?まさか俺が降りるころにはいい加減降りきってるよなと計算したけど、実際は思ったより降りるスピードがめちゃくちゃ遅く追いついて詰まらせることとなる。
下の女も下の女だ。
女が歩道橋の直前にいる地点で俺はすでに右に移動していた。
位置は歩道橋をもうすぐ降りきる5歩くらい上というところ。
なぜ一旦横に捌けない?
いいじゃんもうここまで来たんだら通してくれても。
と俺は思うんだけど相手はどう思っていたんだろう。
まぁいいかどうでも。
雨ってただでさえストレスだしなんか釈然としない気がした。
もともとある東京女心狭すぎイメージというのも手伝って。
以上
1年前