上野。
横断歩道で信号待ちをしている時に俺の体に他人のバッグが当たった。
それも複数回。明らかに気づいていない。てか距離が近すぎる。パーソナルスペースもへったくれもない。
俺はこの時点ですでに予想していた。
これは、図太い代名詞の女と老人を合体させた存在である老婆であると・・・。
顔を確認するとまさに老婆であった。
そして俺はほくそ笑む。やっぱりな、と。
他にも電車の隣にヤバそうな奴が座って、異様に体重をかけたれた時も、ほら、ああ、やっぱやばいやつだった。やっぱりな、という具合に。
この予想は不条理な他人からの不意打ちに備えることである。
ムカつく行為をされても、事前に予想できていれば、そのムカつく行為に対して感じる憤りや怒りなどの感情を減殺することができる。
ああ、やっぱコイツはこういうやつだった。そういう顔してるよな、という具合に。
人は見かけによらないというけれど、俺は人と関わったことが皆無なためそれはわからないが、
ただ、他人に荷物をぶつけても平気な奴に老婆が多い傾向があるのは街を歩いていたり電車に乗ったりしていて経験則で分かる。
人間離れしている表情をしている奴がヤバイことは直感的に分かる。
そして、その経験則や直感により導き出された理不尽行為された、あるいはされるであろうなという予想が当たると予想が当たって嬉しいという感情が生まれて、それによって怒りや憤りの感情が中和される。この中和された時に冷静さ・余裕が少しばかり生まれる。
そして俺の場合はシニカルな笑いに変換される。
図書館の問題児のように突発的に他人に物理で反撃して警察のご厄介になるよか大分ましだろう。