道を歩いていると時々小学生が前にいるときがある。
そういうときにあの出来事を思い出さずにはいられない。
大学に通っている時のことだ。
俺は大学の最寄り駅から大学に向かっていた。都心で人通りは激しめなところだが午後3時くらいだったのでそんなでもなかった。
気づけば俺は小学校男児の後ろを歩いていた。
真後ろというわけでもなくソーシャルディスタンスほどの距離だ。
その男児はおもむろにこちらを振り返ると足早に走りだした。
時々こちらを振り返っては走っていた。
走っていたというか逃げていた。
ちなみに俺は変質者的なことは何もしていない。ただ道を歩いていただけだ。
ただ、その当時の俺の格好は今では客観視できるが、ひどいもんだった覚えがある。
全体的には山田孝之の電車男(映画版)の変身前でポケットの上が破れたそんなジャケットを来ていて確かにみすぼらしかった。
しかし当時は客観視できず大学構内にも友達はいなかったので誰も指摘する人物がおらずそれでOKだと思っていた。
今思えば友達はできなかったのはコミュニケーション以前でそのホームレスに片足を突っ込んだ出で立ちがそうさせていたんだろう。
そしてその異様な出で立ちは不審者オーラを漂わせているようで今思えばそのオーラを感知したから彼は逃げ出したんだろう。顔つきとかもあれだったし。
当時はなんだよ、感じ悪いなぁと思っていたけど、今では俺が間違っていたと思う。
まぁあんな格好をしていればああいう対応をされても致し方無しと。まして相手は小学生だ。
しかし今は開き直っているので不審者風のオーラは出ていないと思う。不審者オーラの根源は後ろめたさとかコンプレックスとか劣等感とか多分そういうんだ。
こないだも小学生の後をつけるような形になったが何も起きなかった。
誰かの後ろを歩きたくないと思うのは小学生に限らず若い派手目の格好をしている女の背後もだ。
後をつけてると誤解されるかもしれないという恐れから歩きたくないんだろう。
あと単純に不審者っぽいし。そんな気なくても。
あの逃げた小学生も今頃は大学生か社会人くらいなんだな。
時が経つのは早い。